セーフティネットの罠。「125%ルール」が救わない買い手の末路
セーフティネットの罠。「125%ルール」が救わない買い手の末路
株式会社タマイエの玉井です。
住宅ローンで変動金利を選択している方の多くが、「金利が上がっても大丈夫」と口にします。その根拠として頻繁に挙げられるのが、変動金利に設けられている「5年ルール」と「125%ルール」という2つのセーフティネットです。しかし、不動産のプロの視点から言わせていただければ、このルールを鵜呑みにした安心感こそが、最も危険な「罠」となり得ます。最終部となる第3部では、このルールの正体と、住宅購入者が直面する厳しい末路について明かします。
「5年ルール」とは、金利が上昇しても5年間は毎月の返済額を据え置くという仕組みです。そして「125%ルール」とは、5年経過して毎月の返済額を見直す際にも、直前の返済額の1.25倍(25%増)までしか引き上げないという上限規制のことです。一見すると、急激な返済額の増加から生活を守ってくれる手厚い制度のように思えます。
しかし、ここに大きな落とし穴が存在します。これらのルールは「支払うべき利息を免除してくれる制度」では断じてありません。単に「支払いを将来に先送りしているだけ」なのです。
たとえば、金利が大幅に上昇した場合、毎月の返済額が据え置かれていても、その返済額の中身(元金と利息の割合)が変化します。返済額のほとんどが利息の支払いに充てられ、本来減るはずだったローンの「元金」がまったく減らないという事態が発生します。さらに金利が上がり続けると、毎月の返済額だけでは利息すら払い切れなくなる「未払利息」が発生します。
未払利息が発生すると、支払えなかった利息は将来に繰り越され、最終的なローン完済期日(たとえば35年目)に、減らなかった元金と積み上がった未払利息が一括して請求されることになります。つまり、125%ルールに守られていると感じている間に、裏では「ローンの借入残高が減らないまま、借金が膨らみ続ける」という地獄のような構造が進行しているのです。
この恐ろしい仕組みの本質に気づいた世帯や、5年目・10年目の返済額見直しで実際に1.25倍に跳ね上がった返済額を突きつけられた世帯はどうなるでしょうか。手遅れになる前に、あるいは残債を全額返済できるうちに「自宅を売却して逃げ切る」という決断を下さざるを得なくなります。
「ルールがあるから大丈夫」という誤った安心感が崩れ去るとき、市場には駆け込み的な売却ラッシュが巻き起こります。不動産を所有するすべての方にとって、今求められているのは、こうした制度の本当の構造を理解し、手遅れになる前に適切な資産戦略(早期の売却や繰り上げ返済、ローンの見直し)を講じることなのです。
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